ショイエルマン病(思春期後弯症)

 背骨が強く曲がってしまう病気で、思春期後弯症と呼ばれます。

 


原因

  軟骨から骨への均一な変化がうまくいかなくなってしまい、部分部分がいびつな形になることで発症します。骨の成長過程が均一に起こらなくなってしまうのかについては分かっていません。遺伝子や姿勢の悪さ、内分泌障害、栄養障害が推定されていますが、確定的なものはこれまでのところ明らかにされていません(2017年現在)。

 

 当院見解では、今まで「日本人にまれな骨端症」ということからソファー生活によるものも大きな要因ではないかと推測している。そのため現在は欧米化された生活様式から、今後日本でも増えてくる症例として注視する必要があると思っている。

 


好発

 10歳前後の思春期において発症することが多い。

 


症状

 ショイエルマン病の症状は、思春期頃を境に徐々に出現するようになります。初期の段階では、姿勢の悪さや猫背などがみられます。背骨のゆがみが進行するにつれて、背中の痛みも自覚するようになります。また、背骨全体で背中のゆがみを矯正しようとして、肩や腰、足などに全体的な負担が生じるようになります。さらに、背中の運動機能も低下してうまく腰を曲げることができない、お辞儀ができない、などの症状も出現します。

 

 これらの症状が心理面に影響を及ぼすことがあり、うつ状態となることもあります。また、ごくまれに脊髄が障害を受けることがあり、手足の動かしにくさやしびれなどの症状が出現します。

 


X-P

脊柱を横から観察するとまっすぐではなく、滑らかな曲線を描く。胸椎の変化をみることが多く、猫背が強調される形で背骨が変形しています。

 


治療

理学療法…背中の曲がりを矯正するために、周りの筋肉を中心として筋力の増強を図ります。特に発症初期においては、本療法を行うことで病気の進行を阻止することが期待できます。

 

装具の着用…背中の曲がりが強い場合には、装具でゆがみを矯正し、進行防止を図ります。ゆがみの状態を確認し矯正の具合を修正しつつ、ゆっくりと治療していきます。

 

手術…上記のような治療方法は、特に骨の成長期で効果を期待することができます。骨の成長が完成してしまった場合や、ゆがみの程度が強い場合には手術を行います。手術にはさまざまな方法があり、どのタイミングでどの手術を行うかは、患者さんの症状に合わせて適切に決定されます。

 

 

心のケア…ショイエルマン病では、慢性的な痛みや見た目の変化から心理的な影響が生じることもあります。そのため鎮痛薬の使用や心理面のサポートを行うことも大切です。